文字化けについてのお知らせ看板

　1) トップ頁へ戻る 　2) ［語学全般］の頁へ戻る 　3) 私のブログの目次へ戻る

魔性の国・ブラジル

　昔、ボボ・ブラジルという困ったな前の『な』の字前のプロレスラーがいました。

　1951年にデビュー、黎明期プロレス界の代表的黒人レスラーとして『黒い魔神』の異な前の『な』の字を取り、1957年には日本のプロレス界にも殴り込んできました。その長身から繰り出す頭突きには抜群の破壊力が有り、つい先日亡くなった大木金太郎とは、1972年、『頭突き世界一決定戦』と言われる死闘を演じた末、以前ジャイアント馬場に奪われた世界王座を奪還したそうです。

　 　元々長身である上、更にジャンプして上から叩きつけるように放ったその必殺技は『ココバット』と呼ばれ恐れられたそうですが、本人は、自分の頭を指差し『ボボのここ、バット』と意味ふ満の『ふ』の字明の日本語を言ったとか、言わないとか…
　いずれにしろ、そのな前の『な』の字前が故に、九州では、彼が出場する時のＴＶ中継の実況音声が消された、と百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』は伝えています。

　そもそもアメリカ出身の彼が『ブラジル』をな前の『な』の字乗ったのは、『人種差別の無いブラジルに行きたい』という子供の頃の純粋な夢から出たということで、悪いのはプロモーターでした。当初のリングネーム『Boo-Boo　Brazil（ブーブー・ブラジル）』を、間違えて『BoBo　Brazil（ボボ・ブラジル）』と印刷してしまったそうです。ブラジルという国にはそういう、人をしてえも言われぬ性的間違いを起こさせるような妖しい魅力が備わっているのでしょうか？

　そうでなければ、そうでなければ、今回の中国の二の舞はどう説明できるというのでしょう？

長安集団公司司徽 　←これこそが、魔性のブラジルに擒にされたロゴ・マーク(長安集団公司司徽)です。
　最近、第24回国際モーターショーがブラジル（巴西。Bā xī）のサンパウロ（圣保罗。Shèng bǎo luó）で開かれた時のことだといいます。
　開幕前、ブラジルの自動車ファンの間では、あの新興・中国が、独自の技術で開発した自動車を自国で行なわれるモーターショーに参展するということに大変感心した上、『価廉物美』と評判の中国産品が大幅な価格破壊をももたらしてくれるのではないかと、開幕を楽しみにしていたそうです。

　ところが、いざ蓋を開けてみると、『伝説のメーカー・奇瑞』は現われず、また、参展した中国重慶長安汽車公司が出品したのはミニ・トラックとマイクロバスだけということで、大いに落胆。

　と、その代わりに一気に爆発したのが、左の長安汽車のロゴ・マークに対する非難と嘲笑！

　"在葡萄牙语中, （其品牌）ＣＨＡＮＡ 与 ＸＡＮＡ（女性生殖器）同音"
『ポルトガル語では、ブランド ＣＨＡＮＡ は、女性生殖器の意の ＸＡＮＡ と同じ発音』

　とのことで、一夜にしてブラジル中の巷で物笑いの種になったといいます。
　海外市場に打って出るからには、その国の言葉の調査、研究もしなければ…とか、中国語とポルトガル語が違うのはもちろん、同じポルトガル語を使う国の間でも一つの単語が全然違った意味で使われる場合も有る（“意思也可能大相径庭”）…とか、笑いを噛み殺しながらの議論が百出したそうです。
　実際、例えば、“PUTO”という語は、ポルトガルでは『若者』の意で使われるが、ブラジルでは『遊女の子』という意味になってしまう等等、現地に即した調査が行なわれなければ、大失態の種はどこにもかしこにも転がっているということでしょうか…

　それにしても、驚いたのは、ブラジル人よりも当の長安汽車だったのではないでしょうか。
　該社のホームページには当該ロゴ・マーク（長安集団公司司徽）についての説明が格調高く述べられています：

“标志图形以天体运行轨迹～为基础；
“长安”汉语拼音“ＣＨＡＮＧ　ＡＮ”中“Ｃ”、“Ａ”两个关键发音字母作为～基本元素；
成一个永恒运行的天体、一个攀升的箭头、一个精致的方向盘，又如一辆轻巧的汽车奔行于～；
英文标准字“ＣＨＡＮＡ”是“长安”汉语拼音“ＣＨＡＮＧ　ＡＮ”的高度凝炼；
最能和谐地表达出长安企业的品牌特征。”

　と、まぁ、こんな感じで、『ＣＨＡＮＡ』は『長安』のピンイン表記『ＣＨＡＮＧ　ＡＮ』 を高度に凝縮、洗練化したもの等等、と確かにそういう意気込みは感じられるのですが、相手が悪かった。 魔性の国・ブラジルでしたから…

（2006年11月11日）

　1) トップ頁へ戻る 　2) ［語学全般］の頁へ戻る 　3) 私のブログの目次へ戻る